転職に有利な新卒就活(理想的なファーストキャリア)

転職

中途入社の採用に関わっていると、ありとあらゆる職務経歴書をみることになります。
これまで外資系企業において「採用する側」として、たくさんの職務経歴書(CV)を見てきました。企業側から見たときに、どんなCVが目に留まりやすいものなのか、を書いてみたいと思います。 

新卒で入社する会社選びについて教えてください。

テディさん
テディさん

これからの時代、1社だけで終わることはなかなか無いよね。自分のキャリア形成に意味のある会社選びをしたほうがよいよね。

 

残念な職務経歴書

つい先日のことです。ちょっと残念な感じの職務経歴書を見ました。

経歴書の内容

  • 早慶上智クラスの経済学部卒の28歳
  • 地方大手電力会社入社(わかりやすいように九州電力として書きます)
  • 入社から3年間は大都市圏の支店(博多支店のイメージ)勤務。その後本社営業推進部という部署で3年。
  • 支店勤務の内容:所管地域の顧客対応窓口における統括業務。支店営業部門の企画推進。
  • 本社勤務の内容:全社営業戦略に基づく、企画推進業務。担当支店の業績向上支援。

さてこの経歴書のどこが残念なのでしょうか?

候補者の人物像

  • 高校の頃から優秀で、偏差値の高い大学に進学。
  • 恐らく地元に戻り、大手安定企業に就職。
  • 面接での印象もよく、初配属は基幹店舗に配属。仕事はソツなくこなして評価され、1回目の転勤で本社の花形部門に異動。

本当にこの何が残念なのでしょう??

外資系企業の求人

外資系企業は基本的にジョブ型採用と言われる採用が行われます。

社内の業務は組織のミッションと、その業務を行うにあたり必要な組織図によって定義されます。

例えば、営業部門であれば、マーケットに顧客がどれだけいて、どのように営業活動を行うと効率的で、そのためには全国のマーケットをどう区切るべきで、となると、「九州地域には計5人の営業が必要で、拠点は福岡におくのが望ましく、マネージャーが1名」という組織設計が行われるわけです。

例えばこの「5人」が「ヘッドカウント」と呼ばれて管理され、誰かが退職したり昇進で社内異動したりすれば、空いた「1枠」に対して外部採用をかけるわけです。

その際、「Job Description(略してJD)」と呼ばれる「職務記述書」をこの部門長が記載し、それをもとに求人票を作ります。

つまり「今から採用したい1名」については、求める人物像がかなり明確になっているわけです。例えば「このような商材を、このような顧客層に対して、このようなチャネルで、このように売れる人」みたいな。

残念なワケ

冒頭の候補者は、本来の能力やポテンシャルはかなり強く感じます。きっと周りにいる人も優秀で、その中でも高い評価を得ていたのだと思います。

一方で、社会人として6年を過ごしてきたなかで、「これができます」という明確なものが職務経歴書を通じて見えてこないのです。

この方の強みは「営業力」なのでしょうか?「企画力」なのでしょうか?

電力会社というある種寡占市場かつ利権業態での経験は、どのような会社で活きてくるものでしょうか?

一般に伝統的大手日本企業と外資系企業は社内カルチャーも大きく異なります。その変化にこの人はどれだけ適応できるのだろうか?

そう。「大企業の総合職として、なんとなくなんでもこなせそう人」は「ジョブ型採用のSpecificな求人票には当てはまりにくい」のです。

例えば上述したような営業部門でのポジションの場合、この候補者よりも、例えば・・・

  • 中小企業で営業経験3年(25歳)だが、難易度の高い商材を自分のアイデアによって同僚よりも高い成果をあげている
  • 現在2社目(31歳)で、1社目も営業。B to C企業からB to B企業へと顧客は変わりつつも安定して営業成果をあげている。

みたいな職務経歴書のほうがはるかに魅力に映ったりするのです。

ファーストキャリアの選び方

もちろん選び方に正解なんてないのですが、

  • そもそもの自分のことをよく知る(これは割愛します)
  • 1社に長く働く(就社する)と大卒時からコミットするのか、自身のキャリアにオーナーシップを持つ(就職する)のか、よく考える。
  • やりたい仕事があるなら、その仕事にこだわって就活をする(例えば、P&Gでマーケティングやってました。という職務経歴書だと、どの会社のマーケティング部門でも書類選考通ります。恐らく。)
  • やりたい仕事が見つかってないなら、社内公募などの制度が整った会社に入り、仕事始めてから考える。ただしどの部署においても明確な成果をあげる

このようなことを頭に置きながら会社選びをしてみてはいかがでしょうか?

 

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