休職中の転職活動。有り?それとも無し?

転職

採用面接をしていると、現在メンタル系の休職中で転職活動をしています。という候補者にもちょくちょく出会います。

これ、その人からすれば、多くの葛藤の中で転職という選択肢を探り、さらに言うか言わないかという葛藤を抱えながら、転職をしているんですよね。

私の経験からも「休職中の転職活動の是非」と、もし活動するならば、の注意事項を書いてみたいと思います。

実はメンタルで休職中です。元の職場には戻れないと思っています。でもこの状態で転職活動なんてしてよいのでしょうか?

テディ
テディ

転職がベターな選択肢だと思えるなら、よいに決まってます。だって自分の人生ですから。

休職中に転職活動をする場合に注意すること

休職そのものを否定しないで

誰も好き好んで、もしくはわざと休職を始めたりはしません。休職開始時には「医者に診てもらう」という行為があり、そして「診断書を会社に提出する」というステップがあります。

多くの休職中の方にとって、そのどちらも、できるならば避けたかった行為ではないですか?

でも、そうせざるを得ないほどの状況があったんだと思います。ある人は長時間労働で、ある人はハラスメントと感じるコミュニケーションで、ある人は重い責任をひとりで抱え込んでそこから逃れられず・・・

なのでまずはココロとカラダを休ませれる状況を作れた自分を認めてあげてください。あなたのとった行動と結果は、あなた自身を守るために最善でした。なのでゆっくりと焦らず、自分の体調と向き合ってくださいね。

そのうえで、もし転職が本当に必要ならば、活動を始めましょう。

転職は正しい選択肢ですか?

休職という制度は、基本的に復帰を前提として、会社に籍を置きながら休んでいる状態です。よって、職場に戻る選択肢も最後まで消さないでおいて欲しいです。

というのも、メンタルにおける休職期間中、特にその初期時点ではいつも以上に判断力が鈍っている、もしくは偏っている状態だということに気付いていてほしいからです。

「こんなふうに休み始めてしまって、もう会社には戻れない」

「仕事を途中で投げ出してしまって、同僚には迷惑『しか』かけてない」

「もう自分の居場所は元の職場には残ってない。戻っても皆に気を遣わせる。」

そう思ってしまうのは人間として当たり前です。あなたのココロの中に健全な部分が残っている証拠でもあります。

でも少し、俯瞰的な立ち位置で眺めてみることもおすすめします。

例えば想像できますか?

あなたの同僚がいるとします。一生懸命仕事をしていて、お互いに仕事で絡みつつも、彼の担当業務に滞りが出てきて、業務スピードが少しずつ落ちてきて、顔色が悪くなってきていることに気付きます。なんとなく心配なのですが、「すみません迷惑かけて。今日中に対応しますから。」と言いつつ、それができないのも業務量的に想像がつきます。案の定対応が遅れ、また「本当にすみません。自分の業務スピードが遅くて。。」と謝られ、そんな中、彼は会社に来れなくなりました。上司に聞くと、体調不良でしばらく来れないとのこと。。

この彼にどれだけ腹が立ちますか?どれだけ彼を許せませんか?

今のあなたには感じれるはずです。「早く元気になって帰ってきてほしい」という気持ちが。

でもそれは自分の弱さを知って受け止めることができた「今のあなた」だから。世の中の人がすべてそうでないのも事実だし、でも「戻ってきてほしい」と思ってくれる人もいるのも事実ですよ。

この事実も勇気をもって受け止めてみてくださいね。

活動は休職中?復帰後?退職後?

もし、休職をきっかけに転職活動をするなら、それは休職中・復帰後・退職してから、のどれがよいのでしょうか?

個人的には「理由を隠して、休職中の活動」をお勧めしますが、その理由を書いてみます。

休職中に活動することのメリット・デメリット

○面接に行く時間が確保できる。転職がうまくいかなくとも復帰できる。

▲現職、応募先ともにバレる可能性がある。現職の退職手続きのタイミングが難しい。

復帰後に活動することのメリット・デメリット

○色んなことがバレない。

▲時間の確保が難しい。復帰後のストレスがかかっている中での活動となる。

退職後に活動することのメリット・デメリット

○面接に行く時間が確保できる。転職への覚悟ができている。すぐに入社できる。

▲継続的な収入が無い中での活動となる。社会保険の自己負担額も増えている。応募先への説明は注意を要する。

休職していることを言う?言わない?

人事担当として面接を担当していると、休職中の面接であることを言う候補者と、言わない候補者がいます。

また、少し落とし穴になるかもしれませんが、本人が言わなくとも、エージェントからの推薦書の中に転職理由として書かれていることがあります。

これはどちらが正しいんでしょうか?

正解は無いかもしれませんが、症状が快方に向かって完治が見えている前提で、私はエージェントにも転職先にも「言わない」が正しいと思っています。

多くの企業にとって「メンタル対応」は経営課題のひとつです。ゆえに、入口である採用活動においても、そのリスクを回避する動きをとる企業が多いです。

実際、面接時の選考シートに「過去に長期間、会社を休んだことがあるかどうか?」を質問として聞くように印字してある会社もあれば、面接前にそれをアンケートとして候補者に記入させる会社もあります。ゆえに、面接官も「この人、メンタル的に強そうか?ストレス耐性ありそうか?」というのは面接中、結構意識してみています。

そのような面接官に「現在、休職中での転職活動」を伝えたら、どうなるか?「休職しているけど、入社しても大丈夫そうか?」という加点評価的に見てくれたらよいものの、「どれくらいの負荷で休職したのか?それは会社のせいか、候補者の特性か?」みたいな見られ方をする面接官が多いのも事実なので、その場合は勝手に減点主義で見られます。すなわち「ああ。この候補者こういうところあるよな。だから休職しちゃったんだよな。」的な視点。

これはたまったもんではないです。なので、変な事前情報を与える必要はないと思うのです。

具体的な対応

現職への対応

もし転職活動をする場合も、現職での休職の手続きは続きます。具体的には休んでいる期間に応じた診断書は必要ですし、職場によっては産業医との面談の設定があったりします。上司も定期的に、心配して(もしくは義務的に)連絡を取ってくることでしょう。

会社の制度にもよりますが、休職中の給与が出ない場合は健康保険からの「傷病手当金」の申請も会社を通じて必要になります。

一番気を遣うのは、転職が決まって、退職を言い出すとき、でしょうか。「なんやお前、休んで転職活動してたんかい?」という反応がありうるのも覚悟はしましょう。とはいえ、通常、退職には1ヵ月前までに申し出る、というルールを設定している会社が多いので、迷惑をかけない意味でもそこは意識したいところです。

色々な意味で、円満に退職するには、謙虚な姿勢と上司との関係性には気をましょう。すべてを本音で語れる上司との関係がベストですが、必ずしもそうではないと思うので、以下、ひとつのストーリーを提供しますね。

①転職活動が佳境に入っているタイミングで、現職には退職の可能性を伝えておく。(それは転職かもしれないし、「もう戻る場所がないと思うから」という感情面からかもしれない。)

②内定が出そうなタイミングで、応募先には1ヵ月以上先の入社日を交渉し、現職に対しては、①での情報を広げて「これ以上迷惑をかけたくないので退職の方向で考えている。転職したいが、それまでは退職後も傷病手当金が出るのでそれでなんとかする」と伝える。

③実際の退職日1ヵ月前には、「退職を決心した。転職先は決まっていないが、うまくいけば間が空かないように就職したい。が、まだわからない」と、実際は決まってても濁す。

④実際の退職日の直前に、「お世話になりました。実はギリギリで転職先が決まりました。本当にありがとうございました。転職先は少しの間伏せさせてください。」

主治医への対応

転職活動を始めている時点で、主治医から診断書をもらうことだって心苦しいことと思います。でも転職活動を始めるという決心をしている時点で、あなたのココロはかなり立ち直っていることでしょう。自分の人生をよりよく生きるための「演技」も必要だと割り切る強さももってください。でも可能な限りの相談もしましょう。転職を考えていること。今の体調。

100%元気ではない中で転職活動をする際に、自分の体調を一番客観的に見てくれるのは主治医です。もちろん主治医も人間なので、ものすごく元気な人に診断書は書きたくないし、一方で、自分の診察を受け続けてほしい(症状悪化のリスクもあれば、診察と処方による収入の面もある)とも思っています。

だからこそ、主治医との信頼関係には気を付けておいたほうがよいです。

応募先への対応

休職していることを言わない、と決めた時点で応募先には、100%MAXの状態の自分を出し続けることが重要です。

となると、転職理由には一定の材料が必要ですが、そこは色々なストーリーを考えて、一番しっくりいくものを準備しましょう。

最終的に現職先への退職対応との整合性も鑑み、「内定から入社までにどれくらいの期間が必要ですか?」という質問にも、「引継ぎ含め、1ヵ月半程度は・・」と始めのうちから答えておいたほうがよいです。結果的に1ヵ月くらいに縮まったら、それは先方の会社にとってもプラスに働く材料となるだけですから。

ウソがバレるとき

あなたが休職をしている(た)ことを知っている人からの情報か、公式情報か、そのどちらかでしか休職の事実は流出しませんよね?ゆえに落とし穴には十分に注意しましょう。

非公式情報からの流出

○圧倒的に多いのが「転職先に、現職に知り合いがいる社員がいた」です。人事の採用担当者も人脈が広い人は「この期間にこの会社で一緒だったこの人に評判を聞いてみよう」という動きを取る人も存在します。これはもう諦めるしかないですが、リスクを減らす意味でも、自分の休職事実は現職でも部内だけに収めてもらうよう、上司と信頼関係を作っておきましょう。

○SNSでバレる人もいます。ITリテラシーの問題ですが、本名で休職期間中の「心の一休み」投稿をしまくったりはしないように気を付けましょう。

公式情報からの流出

○外資系に多いのが「経歴調査(バックグラウンドチェック)」です。これは履歴書/職務経歴書に書かれたことに虚偽がないかを調査するもの。ただし、ご安心を。多くの場合は、学歴と職歴の事実のみを確認します。ゆえに、「この会社にいつ入社して、今在籍中かどうか」だけをFAXで確認するので、ここでバレることはほとんどありません。ただし、現職がこのような調査に慣れてない場合、担当者が電話して会話してしまうことにより、要らぬ情報を伝えることもあり得ます。

○もしポジションが高ければ「リファレンスチェック」の依頼があることも。これは経歴調査と異なり、一緒に働いた人を自分自身が紹介して、働きぶりを第3者目線で聞かれる、という調査です。これも、自分が信頼できる人にお願いすることでリスクを下げることができます。(し、ほとんどここまでやる会社はありません。)

○外資系や中途を多く取る大手企業だと、給与設定のために直近の源泉徴収票と給与明細の提出を求められる場合があります。これが一番危険です。休職していると特に直近の給与明細上は給与が減っているため、そこでわかってしまいます。これを避けるためには、選考のタイミングで「もしオファー頂けたら、その後どのような提出書類がありますか?今のうちから準備したいので」と確認を先にしておくことも大事です。くれぐれも書類の改ざんはダメですよ。

○入社後に「前職の今年度の源泉徴収票提出」を求められます。これは退職するとその年の1月~退職時までの源泉徴収票が発行されます。それを年末調整時には転職先が合算して計算をするので、提出を要求されるのです。ここで給与が少ないことが判明することがあります。が、これはあまり気になくてよいと思います。通常、年末調整の担当者は採用担当者とは別で、給与計算をアウトソースしている会社も多いので、事務的に処理されることが多いです。もし入社してから、身近な人が給与計算をしているような職場なら、「なかなか前職が発行してくれないので、自分で確定申告します」と逃げるのもありです。

まとめ

「転職」という環境変化には大きなストレスもかかります。

転職直前(すなわち休職の最後の期間)には、少しペースがゆったりした生活から、意図的に運動や英会話などの、身体と脳に負担をかける習慣を徐々にかけていくことが大事です。

いずれにしても、他の人が体験しない大きな試練を乗り越えたあなただからこそ、次の職場ではきっとうまくいくはず。心からその成功をお祈りいたします。

転職に関する注意点には以下のサイトも参考に。

転職しよう!そう思ったときにまず転職サイトを見るよりも先に考えること
社会人になると転職を考える人もたくさんいますよね。転職サイトをのぞく前にしっておくべきこと、実はたくさんあるんです。自分の人生を成功に近づけるためにやるべき準備を考えてみましょう。

 

 

コメント