今までの英語学習経験の中で、私の「グローバルコミュニケーション力」を最もあげてくれたのが、このイングリッシュブートキャンプだったと言っても過言ではないでしょう。その体験と感想をまとめてみたいと思います。
本当に2日間で英語ができるようになるんですか?
なるね~。「英語ができる」の基準そのものが書き換えられる感じ。参加者全員の豹変ぶりがむしろ感動的だったよ。英語レベルも問われない。もっと早く参加しておけばよかったよ。
進化し続けるコンテンツ
今から書く実際の体験は2016年のものなので現在の内容とは異なっています。他の方の体験記を読んでいると、このキャンプは年々変化/進化していっているようですね。そこで敢えて当時の体験をレポートすることによって、変わらぬコンセプトと、更なるコンテンツの進化についても浮き彫りにしてみたいと思います。
実際の雰囲気は1分半の動画を見るのがわかりやすいと思いますが、これだけ見ると、やや引いてしまう人もいるかも(笑)。
参加者の属性と豹変ぶり
最初に大きくサマライズしちゃいます。
私が参加した回の参加者は12名。会社員・市役所職員・英語教師・音楽家、年齢層も20台後半から40台まで、職業も年齢はバラバラでしたが、参加した目的は概ね下記のような感じでした。
・業務で使わないといけないが、尻込みしてしまう。
・英語まみれになって自分を追い込みたい。
・頭で考えてからしゃべるのをやめたい。瞬間的に話したい。
・英語教師だけど自信をもって話せない。自分を変えたい。
また英語力も本当にバラバラで、一番できている人で、TOEICでいうと800点くらいのイメージ、できてない人はTOEIC400くらいだと言っていましたが、結果的にそのような「基礎力」はあまり関係のない世界でした。
クラス開始当初はとっても静かでした。日本語が禁止されているので、休み時間の世間話もできない。そもそも日本人だからシャイ。講師が話しかけてきても皆笑ってやり過ごすーー
というメンバー(私含む)が、二日目朝、クラスに入ってきたその瞬間から” Good morning guys! Why don’t we enjoy today’s class? ”とか笑顔で言い出してるし、最後のプレゼンテーションの準備の時なんか英語で講師陣にかみついてるし、ホントいったい何が起きてるんだ??という二日間。
何よりも自分にとっても良かったのはネイティブ講師陣達の陣頭指揮をとるジェネラル(という役割)。このキャンプの主催者で元々商社出身のノリさんが(大変失礼ながら)決して英語が上手ではないこと。
日本人からするととってもヒアリングしやすいジャパニーズイングリッシュで、ネイティブ講師達をビシバシ仕切るし、指示するし、怒る。自信たっぷりに語る。ユーモアを言う。
彼のあり方自体が「そうか。目指すべきはキレイな英語を話すことではなく、この姿なんだ」というロールモデリングができました。
申込に至るまで
上司からの突然の通達
この年、年始に上司から呼ばれ、唐突に言われたのが「秋に開催されるグローバルの研修に推薦しといたから。5日間のコースらしいよ。」というお達しでした。
私のいた会社では、全世界で同じ研修を開催していて、日本国内で日本人だけを対象とする場合のみ日本語開催でした。一定のレベル以上になると、アジア圏内だとシンガポールやソウルに各国から集まったり、さらに上のレベルになるとアメリカに全世界から集まったりして研修が開催されます。
限られた人しか行けないという誇らしさと同時に、「英語開催&多国籍参加者」に対して不安ばかりがつのります。業務で英語を使いはしていましたが、会議やプレゼンなど「ここぞ」という一瞬で使っていたのが現実なので、5日間まるまる英語環境は未知の世界。
しかも前年にセブ島での2週間英語留学に行ったものの進歩が実感できなかったこともあり、半年でどうやって英語力をあげるかを真剣に考えました。
英語まみれになる決意
出した結論としては「できる限り英語まみれの時間を意図的に作りまくる」。
セブでの反省は「いっても切羽詰まった目的・目標がなかった」「休憩時間に日本人とつるむことを考えて、レッスンから逃げていた」ということもあったので、「逃げれない環境」を探すために「英語合宿」「英語漬け」「国内留学」「英語短期集中」なんてキーワードでググりまくったなかで出てきたのがこのイングリッシュブートキャンプでした。
他にもTRAアカデミーの5日間集中コースや、THE ROOM English Salonの1日英会話合宿、合宿制英語学校ランゲッジヴィレッジなどなど、この年には生活費を切り詰めてあらゆる英語まみれコースに手を出しました。このあたりの体験談はまたおいおい。。
実際の申込
当時は「遠方サポート」だったり、「コンテンツリニューアル記念価格」だったりのプロモーションがあり、まだ内容を試行錯誤している途中だったように思います。
関西から参加の私はもちろんホテルを予約して参戦。でも事前配布の参加要領には「首都圏からの参加者もできれば日常から離れてホテルを予約することを推奨します。」なんて書かれていました。
また、恐らく今のコンテンツには含まれていない「ビジネス英会話アセスメント」が無料で2日目終了後に受けれました。
実施の流れ(ネタバレ含む)
2日間の流れはおおまかに以下のような感じでした。
○1日目:英語を話すことに対するマインドバリアの除去のための各種トレーニング
○2日目:実践的なビジネスプレゼンテーションをするためのシミュレーションゲーム
初日にマインドセットチェンジを行い、躊躇とか羞恥とか抜きに英語が話せることを体感し、超具体的な「グローバルコミュニケーションの仕方」を叩き込まれる。そして二日目に「英語を学ぶ」というステージから「英語を使ってゴールを達成する」ということを実感できるように計算されたプログラムでした。
マインドセットチェンジを強いられる初日
当日は新幹線移動でしたが、一体何が起きるかわからないなか、地図を見ながらニコタマの住宅街を歩く。ビルの2階に上がって受付、うん、日本語で受け付けてくれました。ちょっと安心。
続々と集まる参加者。私が参加した会は計12名。全員が揃ったところで始まった。なぜか(ブートキャンプたから、だが。)迷彩模様のビブを来た講師陣。その中で若いユータさんがキャンプのジェネラル(将軍)を紹介する。
「この人、どこかで見たことあるっ」
そう思って自分の記憶をググる。
「あっ!!」
実は当時、ものすごくインパクトを受けていた本がありました。
タイトルもそうだが、「英語ができないなかでハーバードに留学し、言葉のコミュニケーションがチグハグでも、一番大事なのは一人の人間として本音でぶつかること」というメッセージが心に響いた本でした。
「えっ!?。この本の著者が運営してる英会話スクールだったの!?」
まったく知らないで勢いで申し込んだ私も私だが、逆にミーハーな気持ちで「あの本の著者に教わるんだ」とワクワクもする。
そして始まったブートキャンプ。初日の順番は厳密には覚えていないが、以下のようなコンテンツでした。
○レベルチェックテスト
テストというよりは「これだけの単語力でも英語は話せる」と自信を持たせるための目的のようなテスト内容。
○「second best」というコンセプト
要は「伝えたい日本語の英訳が浮かんでこないなんてしょっちゅうだ。ベストな英単語が浮かんで来なくても、色んな言い方で伝えることはできる」
例えば「予算」という単語。「Budget」がすぐに出てくれば問題ないが、浮かんでこなかったところで、Money planでも、Wallet of companyでも最悪、絵でも何だって伝わるのだ、てな話。
○言葉よりも熱量(Loud voice)
自分の知っていることをあの手この手で相手に伝える。伝える材料は必ずしも言葉でなくてもよい。なのに日本人は言葉で伝えようとして熱量をおろそかにする。ということで大きな影響力があったフレーズとしてのキング牧師の”I have a drem”をキング牧師になりきって叫ぶ。
キング牧師の動画を見て、二人一組で順番に叫ぶ。声が大きかったペアから座れる。やっていることは洗脳に近い(笑)。ただ、段々と気持ちもよくなってくる。
○ジェスチャー
言葉を思いつかなくてもジェスチャーがある。だから敢えてジェスチャーだけでどこまで伝わるか、の訓練。「東京タワーをバックに写真を撮ってください」という文章をどうにかしてジェスチャーで相手に伝える。
○Strong Shake Hands & More than ” I’m fine! “
“How are you?”とgreetingされて3センテンス以上話してから、相手の手を握り潰すくらいの勢いで握手する訓練。大まじめなのである。
日本人の握手はきっちり握らないので柔らかくて「腐った魚」と呼ばれたりする。らしい。
○ロジカルコミュニケーション
よくある「結果を先に。理由は3つあります。一つ目は~」という説明テンプレートの練習。これも高速で繰り返すことによって、あまり理屈をこねくり回したり、オツな理由じゃなくてもよいことに気付いてくる。
○今日学んだことの可視化
初日終了前に今日の学びをグループで英語でのポスターづくり。
へとへとになりながら、明日への注意事項として、家族とも日本語で会話をしないことを推奨される。テレビもネット見ない。見るならば英語ニュースを見るように、と。
もう疲れ切ってホテルで眠りにつきました。
二日目はほぼビジネスプレゼンテーション
二日目はほぼほぼプレゼンでした。これがまたよく練られてました。
受講者は2人一組となり、夕方からのプレゼンテーションに向けて準備をする。
このペアは日本の旅行エージェントという位置づけで、アメリカの架空のMBAスクールのスタディツアー誘致のために、その事務長に対して日本に来るメリットをプレゼンしなければならない。
事務長は事前視察の位置づけで日本を訪れていて、ペアはそれぞれ限られたヒアリング時間を有効に活用してMBAスクールの課題や悩み、他の訪問国やバジェットなどを聞き出す。
それに対して「日本」という商品ができる課題解決をロジカルにストーリー化して、プレゼン資料を作り、練習をし、皆の前で競合プレゼンを行う。最後は相互投票で一位を決める、という内容。
これがまた絶妙な時間配分と情報量コントロールだったので、時間があっという間に過ぎていきました。
感動的な修了証授与
そして最後のエンディング。なんと2日間の様子を動画に収めていて、感動的なクラスサマリー動画が出来上がっていました。最後のメッセージも、「とにかく勇気をもって一歩一歩を踏み出そう!」
修了証をもらって泣き出す受講生もちらほら。そして突然日本語に切り替わり、日本語の味気無さを感じることにもなりました。
まだまだ終わらない2日間
またここで終わらなかったのが当時のカリキュラム。
希望者のみ、無料で個別アセスメントを受けれるという特典がついていました。
終了後、希望者はアセスメントルームに移動。なんとカラオケボックス。そこで指示がでます。「あなたの一番大事にしているものを絵にかいてください」
そしてシナリオを渡され、順番に別ルームに呼ばれる。そこで待っているのはやはり迷彩服を着たジェネラル達だ。
シナリオとしてはこれからとても大事な商談が始まる。相手はカルチャーの異なる国の要人ということになっている。そして「あなたの一番大事にしているものと交換ならば、この商談を進めてもいい。その代り、なぜそれが大事なのか、私にわかるように説明してほしい」と、完全に役に入りきった感じでせまってくる。
もちろんここで求められているのは2日間で学んだこと。とすぐにわかる。
アイコンタクトをずらさない。握手は相手の手を砕くほどの力で。結論から話して理由は3つ。話すときにはジェスチャーを入れる。
こういうアセスメントでも真剣に演じてくれるので、緊張感の中で終了。後日アセスメント結果が送られてきた。
案の定(?)、アイコンタクトとか、握手とか、通常の英会話アセスメントに入っていない項目が並んでいる(笑)
しかし本当に中身の濃い2日間だった。
内容の書籍化
ちなみにこの2日間で教えられていることが書籍化されたようだ。(ノリさんからメールで連絡がきました)
こちらも買って読んでみた。当時体験した内容がわかりやすく詰まっている。が、やはり、コミュニケーションというのは人への影響力であり、そこには生身の人間の熱量がモノをいうということを肌身で感じてきた身としては、やはり実際にイングリッシュブートキャンプに参加することによる実体験をオススメする。
まとめ
この時の受講者たちとは今でもFacebookのグループページで繋がっていて、皆、投稿は英語でしてくる。
それぞれの英語学習の中でも印象に残ったクラスであるのは間違いないようだ。
私も今でも色んな人に英語学習のアドバイスをするときには、「早いうちにイングリッシュブートキャンプに行っておいたほうがいいよ。そのあとの学習効果も変わるから」と伝えている。
知識ではない「武器」を与えてくれた英会話スクールはここだけだったかもしれない。
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