なぜ私たちは食べ過ぎるのでしょう?そしてなぜすぐにお腹が減るのでしょう?
そこには脳の満腹中枢が大きくかかわっています。
そこをよく理解して、脳と仲良くしながらダイエットしましょう。
「ゆっくりよく噛んで食べましょう」とよく言いますよね。これで満腹中枢を刺激して、食べる量も減らすことを期待しての食べ方というのが通説です。満腹中枢とは何か、ということを知るとその本質が見えてきます。
満腹中枢を刺激するようにゆっくり食べて、っていうのはどういうこと?
脳には適切な体重を維持する仕組みが備わってるんですよ。ただそれが高血糖状態をつくることによる満腹感だと脳がだまされちゃうということでもあるんです。
満腹感とは?
そもそも満腹中枢は体重の極端な増減を防ぐ意味で作動します。ゆえに、世の色々なカロリー計算をきっちり行わなくとも、脳はカラダの適正体重を知っていて、そこに向かって作動するのです。満腹中枢は脳の視床下部にあり、刺激を受けると食べることをやめなさい、とカラダに指示を送ります。東京都神経科学総合研究所のサイトによると、古くからは、
①血糖値の上昇
②胃壁の拡張による迷走神経刺激
の2つが視床下部の満腹中枢に伝わって満腹感が生じるとされてきたようですが、それに加えて、レプチンやアミノ酸、神経ペプチドも影響を与える。などと解明されてきているようです。ちなみにこの「レプチン、アミノ酸、ペプチド」は摂取するタンパク質、脂質から分泌されるものです。
メカニズムとしては、食事をしたときに、糖質が消化・吸収されて急激に血糖値が上がり満腹中枢を刺激します。そして遅れて(20分ほどして)脂肪細胞からレプチンが、アミノ酸からペプチドが分泌され、この刺激も満腹中枢に伝わり満腹だと感じるようになります。そのため、食べ過ぎないようにするには、この満腹中枢を的確にタイムリーに刺激して食欲を止めることが大事です。そのためには血糖値上昇、レプチン・ペプチドの分泌が同じタイミングで行われるよう20分程度かけて食事をすることがベターです。
逆に、高糖だとペプチドが出にくくなり、食欲を増進させる働きを持つペプチドホルモンのグレリンが高まりやすくなるそう。2009年に発表されたJCEMのデータによると、特に肥満者ではそうらしいです。つまり、「満腹中枢が働かなくなり、お腹いっぱいまで食べると肥満になる」というよく聞くお話は、高糖質食のみで生じるお話しだった、ということ。
つまりは、蛋白質と脂質をゆっくりと、しっかりと摂取することによって「真の満腹感」を得ることが、カラダにとってもダイエットにとっても良いこと、ということになりますね。
空腹感とは?
これは満腹感以上にその詳細のメカニズムは判明していないようなのですが、大きくは
①低血糖による空腹感
②栄養素を求める空腹感
の2つがあるようです。
前者は糖質摂取にともなう高血糖状態に対してインスリンが分泌され、急激に低血糖状態が起きることによる「偽物の」空腹感。
後者は「血糖値が上昇していない」「胃壁も弛緩している」という状態の中でも視覚・聴覚・嗅覚などを介した様々な食物刺激や食物に対する想いが、単に視床下部だけでなく広範囲な脳の領域に影響を与えて、真にカラダが必要栄養素であるたんぱく質と脂質を求めるときに生じる「生きるための空腹感」と言えそうです。
糖質制限ダイエットをしていてお腹減らないの?と聞かれることはよくありますが、要はこの①の空腹感を起こさずに、②の空腹感の際には脳とカラダに逆らわず、カラダを作る必要な栄養素であるたんぱく質と脂質を摂取しているわけなので、「お腹は減るけどちゃんと食べてる」ということですね。
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